あなたは 優しすぎるのよ
それ以上近づかないで
お願い






If






なにもいわずに抱きしめられた。
なにが起こったのかわからなくて
頭がまっしろになって
身がすくんで
誰かと思った。
見たことも無いような真剣な なにかをこらえるような顔をして
一文字に口を引き結んだ少年
泳ぐ目に入る 砕けたりんご
それをみてやっと状況が飲み込めた。


なぐさめて くれようと



「………っ」
何か言おうとしたけれど言葉が出ない。
ナルトは優しい。
そっと体をはなすと、苦しそうな顔が目の前にあった。



どうしてそんなかおするの


すぐに顔をくっしゃりさせて笑う。
「サスケ、なんか機嫌悪いみたいだけど、大丈夫だってばよ!」
「………」
「サクラちゃんずっと看病してたのに、礼の一つも無いなんて許せないってばよ!
俺行ってくる!」
拳握り締めて言う彼が、無理している様に見えるのは気のせい?
ぼんやりみるわたしをみて、またちょっと気まずい顔。
そんなに変な顔してる?
ナルトはひょいと身をかがめると床に散ったりんごを一つ手にとって――――


「ナルト!?」


しゃりしゃりと音を立てて咀嚼する少年をみて仰天する。
「それ、床に……!!!」
「大丈夫だってばよ!せっかくサクラちゃんが剥いたのに、もったいないって!」
「でも……!」
「いいの!」
黙り込んだわたしをみて、ナルトは安心させる様に笑った。




そんなかおしないで





「俺、サスケをおっかけてくるってばよ!」
「ナルト」
「大丈夫!」









ナルト

あんたをすきになればよかったね
あんたはいつも優しくて
その言葉に泣きそうになる
どれだけあたしが傷ついてるかわかる?
どれだけあたしが癒されたかわかる?
あたしがどれだけ酷い事を言っても あんたはくじけず
追いかけてきてくれるよね
あんたを好きだったら
こんなに苦しい思い しなかったのに







"もし"なんて
自分勝手な夢






優しくしないで
お願いだから
弱くて卑怯なあたしは
それを恋と錯覚してしまいそうだから








それでもわたしは………







ナルト
ナルト






ありがとう




ごめんなさい







********2004.05.29********
サス←サク←ナル

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